借金に悩むと、「返済できなくなったら、家や家具が差し押さえられるのでは?」と不安になりますよね。
期日までに返済するのは当たり前ですが、返済が難しい状況に急に陥る事もあるかもしれません。
では万一借金を返済できなくなった場合、どうなるのでしょうか?家や家具を差し押さえられるのでしょうか?
今回は、借金が返済できなくなった時の、対処法についてご紹介します。
目次
差し押さえとは?
差し押さえ」という言葉は知っていても、その内容を知っている人は少ないでしょう。
ここでは差し押さえについて、詳しく説明します。
差し押さえは最後の手段!
差し押さえとは、借金の滞納などがあった場合に、裁判所の強制力を後ろ盾にして、債権者が取り立てを行う制度です。
差し押さえられた財産は競売などで処分され、その代金を残った債務に補填(ほてん)、つまり返済にあてられます。
最低限度の生活を保障するため、家具・衣類などの生活必需品などは差し押さえが禁止されています。
ですので、仮に借金が返済できなくても「家具の差し押さえ」を心配する必要はありません。
しかし禁止されたもの以外、家や土地などの不動産、高級家具や宝石といった動産は全て差し押さえ対象です。
また借金の返済が遅れたからと言って、すぐに差し押さえに移ることはありません。
一般に差し押さえは、何度も督促したにも関わらず一向に返済の様子がない場合に、最後の手段として行われるものです。
<関連記事>:借用書の書き方を元銀行員が解説!法的に有効な(無効にならない)ためには?
差し押さえまでの流れ
テレビドラマなどで、何の前触れもなく家の中に人が入ってきて、家具に赤い札を貼っていくシーンがありますよね。
実際には、突然踏み込まれて家や家具を差し押さえられることは、まずありません。
差し押さえが行われるまでの流れは、以下の通りです。
1.債権者による督促
まず債権者は、電話や訪問で督促を行います。通常この段階では、少しの遅れであれば待ってもらえる事がほとんどです。
この督促を長期間無視したり、返済を約束したのに実際には支払わない場合、次の段階に進みます。
2.裁判所から「支払督促状」が届く
再三の督促にも応じずにいると、裁判所から「支払督促状」が郵送されます。債権者の申し立てに基づき、裁判所が借入残高の全額を一括で返済するよう求めるものです。
ここで返済するか異議申し立てをしなければ、最後の段階に進みます。
3.裁判所から「仮執行宣言付支払督促」が届く
裁判所から「仮執行宣言付支払督促」が送られます。この送達から2週間以内に何らかの対応をしないと、差し押さえに移ってしまいます。
この仮執行宣言付支払督促は、転居先不明などで手元に届かなかったとしても、発送の時点で送達されたことになるので注意が必要です。
<外部の関連サイト>:裁判所|仮執行宣言付支払督促を受けた場合はどうすればいいの?
借金が返済できない場合の対処法は?
では実際に借金が返済できなくなった場合、どう対処したら良いのでしょうか?
1.家計の見直し、不用品の処分
少額であれば、家計を見直すことでお金を用意することが可能です。
たとえば不用品の処分や副業で、増えた収入を返済に充てることが出来ます。
また忘れているお金がないか、改めて確認しましょう。
特に何年も使っていない口座は、お金が残っている可能性があります。
<関連記事>:【元銀行員が解説】即金で5万円・10万円を作るために絶対知っておきたいこと
2.担当者に相談
現在の収入では返済が難しい場合、担当者に相談してみましょう。
毎月の返済額を下げたり、返済期間を延長してもらえる事があります。
債権者側も、回収不能になるくらいなら、少し待ってでも返済してもらった方が良い、と考えるからです。
具体的には、元本の支払いを止め、利息だけを返済していく方法があります。
しかしこの方法では、借金が減るわけではありません。
通常の返済では、利息にプラスして元本の一部も返済しています。
ですが利息だけの返済にすると、元本がいつまでも残る事になります。
結果として、トータルでの支払額が増えてしまう点に注意してください。
いつまで経っても返済状況が改善できない場合は、以下で説明する「おまとめローン」や債務整理を検討した方が良いでしょう。
3.おまとめローンを利用する
複数の会社からお金を借りている場合は、おまとめローンで一本化するのも方法の一つです。
月々の返済額を抑えて設定できるので、毎月の負担を小さくできます。
更におまとめローンは一般のものよりも金利が低い場合が多いので、支払総額を少なくする事が可能です。
また返済日が統一できるので忘れにくく、返済状況を管理しやすくなります。
<関連記事>:【元銀行員が解説】おまとめローンでNGなこと・審査上の注意点
4.債務整理
債務整理とは、支払いに猶予を持たせたり借金を減額したりする手続きを指します。
主な債務整理の手続きは、「任意整理」「個人再生」「自己破産」の3つです。
債務整理については、後ほど詳しく解説します。
それでも返済できない!家の差し押さえを回避するには?
「できる事はやったけれど、どうしても返済できない」という場合、やはり家は差し押さえられてしまうのでしょうか?
差し押さえで家も失う?
家は買い手がつかないと売却できず債権回収できないので、差し押さえられる順番は最後です。
しかし優先順位が低いとは言え、借入金額によっては、家の差し押さえも十分にあり得ます。
また自己破産した場合、借金が免除される代わりに、ほぼ全ての財産を処分しなければならないので、家を失う事は避けられません。
債務整理で差し押さえを回避!
上でも書いた債務整理のうち、財産の差し押さえを回避できる方法が「任意整理」と「個人再生」です。
これらの手続きをとれば、家を失わずに計画的に返済していく事が可能になります。
任意整理は、債権者と債務者の間で交渉して返済計画を見直す手続きです。
滞納による遅延損害金や今後の返済にかかる利息をカットしてもらうことで、支払いの負担を軽減できます。
それに対し個人再生は、裁判所を通じて法的に借金を1/5まで減らす方法です。
個人再生を行うと、任意整理と比べて大幅な減額が可能ですが、分割で原則3年以内に返済しなければなりません。
<外部の関連サイト>:【元銀行員が解説】消費者金融の債務整理で抑えておきたいこと
債務整理の注意点は?
メリットが多い債務整理ですが、もちろんデメリットもあります。
代表的なのが、ブラックリストに登録される事です。
債務整理を行うと、その情報は信用情報機関に登録されます。
いわゆるブラックリストに登録された状態となり、完済後5年間は、新規の借り入れが一切できません。
また手間と費用が掛かるのも、デメリットの一つです。
特に個人再生は手続きが複雑で、自分で手続きしても15~25万円程度かかる場合があります。
スムーズに手続きを行うため、弁護士や司法書士などの専門家に相談するのが良いでしょう。
以上、借金が返済できなくなった時の対処法について解説してきました。
返済が間に合わなくなったら、すぐに貸し手に連絡を取って、返済計画の相談をしましょう。
家具が差し押さえられる心配はありませんが、返済を放置していると、家を差し押さえられる事も十分あり得ます。
家の差し押さえを回避するには、債務整理を考えるのも一つのやり方です。
- 差し押さえとは、裁判所の強制力で取り立てを行う制度
- 債権者の督促に応じずにいると、裁判所から一括返済を求められることがある
- 裁判所の督促でも返済しない場合、家や宝石類などが差し押さえられる
- 返済できなくなったら、担当者に相談して返済を待ってもらうなどの対処を行う
- 任意整理・個人整理の手続きを行えば、家の差し押さえを回避しつつ借金の減額が可能