カードローンでお金を借りたら、当然返さなくてはいけません。
ですが万が一お金が足りなくて返済できなかった場合、漫画や映画のように怖い人が取り立てに来るのでしょうか?
今回はカードローンの取り立てについて、詳しく解説します。
また返済が難しい場合の対応も紹介します。
目次
カードローンの取り立てはある!けど、怖いものではない
できればカードローンは上手に返済をして、取り立てを受けないようにしたいところです(上手な返済方法は、「【元銀行員が教える】カードローン返済の上手なコツは?を参照して下さい」。
とはいえ、やむない事情で返済が厳しい人もいます。
その場合、厳しい取り立てを受けるのでしょうか?
暴力を伴う取り立ては、法律で禁止されてる
「取り立て」というと漫画や映画に出てくるような、暴力行為を連想する人もいるかもしれません。
しかしそういった取り立ては法律で禁止されており、違反した場合には営業停止処分などの罰則があります。
暴力行為以外にも、いくつか取り立ての際に禁止されている行為があります。
それについては、後ほど(「禁止されている取り立て行為」で)詳しく紹介します。
取り立ては法律に沿って、淡々と進められる
暴力的・威嚇的な取り立てはありませんが、返済が遅れたら、取り立てそのものは行われます。
漫画のイメージとは大きく異なり、実際の取り立ては法律に沿って、淡々と進められます。
取り立てにはいくつかの段階があり、最後は法的手段によって給与の一部が差し押さえられます。
取り立ての流れについては、後ほど(「カードローンの取り立ての流れは?」で)詳しく説明します。
催促は丁寧だけど、それなりにストレス
督促の電話は来ますが、口調は非常に丁寧です。
もちろん電話口で脅されたり、怒鳴られたりすることもありません。
電話の回数はカードローン会社によって違いますが、大抵は毎日1回、長くても5分程度です。
「取り立てという割に大したことない」と思う人もいるかもしれませんが、そうとは限りません。。
筆者(=もぐお)が過去に債務整理をした人に取材したところ、この毎日の電話が一番のストレスだったと話していました。
<関連記事>:【元銀行員が解説】カードローンを延滞・滞納すると、どんなペナルティがある?
禁止とされているカードローンの取り立て行為は?
先ほどお伝えしたように、暴力を伴うような取り立て行為は禁止されています。
他にはどんな行為が禁止されているのか、詳しく見ていきましょう。
禁止されている取り立て行為
取り立てに関して以下の行為は、貸金業法の第21条(取り立て行為の規制)によって禁止されています。
- 正当な理由がないのに、午後9時から午前8時に間に電話(FAX含む)を掛けたり、自宅を訪問すること
- 正当な理由がないのに、自宅以外の場所(勤務先など)に電話をかけたり、訪問すること
- ポスター・看板などで、借金の存在や債務者の私生活などを近所にバラすこと
- 自社の借り入れ返済のために、他社から借入れするよう迫ること
- 借り入れした本人以外の人に、返済するよう要求すること
- 暴力的な態度(言動)を取ったり、大声をあげたり、多人数で押しかけること
- 1日の内、何度も電話をしたり、メール(FAX含む)を送ったり、訪問すること
このように、借金の取り立ては厳しく制限されています。
違反した場合は、営業停止処分もあります。
<外部の関連サイト>:貸金業法とは?分かりやすく解説!
「正当な理由」って何?
先ほどの取り立て禁止行為の中で、「正当な理由がないのに」という言葉が2回出てきます。
この「正当な理由」って、どういう意味でしょうか?
実は「正当な理由」についての、ハッキリとした明記はありません。
ただ貸金業法の事務ガイドラインにおいて、「正当な理由」とは、個別の事実関係に即して判断すべきものとしています。
しかし以下のような場合については、「正当な理由」にあたる可能性が高いとしています。
・債務者自身の、自発的な承認がある場合
・債務者と他に連絡を取れる、合理的な方法がない場合
つまり面倒くさいなどの理由で、催促の電話から逃げ回っていると、カードローン会社が深夜に電話したり、勤務先に訪問するのを認めることになってしまいます。
ストレスのかかる取り立てを受けたくなければ、深夜の連絡や勤務先への訪問などを了承してはいけません。
また返済ができない場合でも、先方からの連絡は絶対に無視しないでください。
<関連記事>:【元銀行員が解説】カードローンの返済期間はどの位?返済できない時はどうなる?
違法な取り立てを受けたら、どうする?
まっとうな業者が相手であれば、取り立てによって身の危険を感じるようなことはありません。
もし取り立ての際に暴力・脅迫を受けた場合は、迷わず警察に連絡してください。
また暴力・脅迫を受けていなくても、「取り立てが厳しすぎる」「違法な取り立てかもしれない」と感じたら、金融庁のカードローンホットラインや消費者センターに相談しましょう。
<外部の関連サイト>
・カードローンホットライン(金融庁)
・消費者ホットライン(国民生活センター)
威圧的な取り立てを受けた際は、「警察や金融庁に通報する」とハッキリ伝えるのが効果的です。
また可能であれば、厳しい取り立てを受けた証拠を残しておきましょう。
写真や音声など客観的な証拠があると、相談や通報をした際もスムーズに話を進めることができます。
カードローンの取り立ての流れは?
それでは、カードローンの取り立ての流れを見ていきましょう。
カードローン会社によって多少順番が前後することもありますが、大まかな流れはどこも次のようになります。
最初はスマホに返済確認の電話
返済が遅れると、最初は返済確認の電話がかかってきます。
カードローンを申し込んだ際に登録した番号へ連絡が来るため、ほとんどの人はスマホに電話が来るでしょう。
取り立ての電話と言っても相手の口調は丁寧そのもので、女性が対応している場合が多いです。
大声で怒鳴られたり、脅されたりすることはないので安心してください。
電話では「返済が遅れているようですが、いつ頃振込できそうですか?」といった感じで聞かれるので、正直に答えましょう。
返済予定日を伝えれば、その日を過ぎるまで電話連絡が来ることはありません。
<関連記事>:【電話取材で分かった!】勤務先への電話連絡なしのカードローンは?
自宅へ催促の手紙が届く
2~3週間しても返済されない場合、自宅に催促の手紙が届くようになります。
封筒には社名が書かれておらず、パッと見ただけではカードローン会社からの手紙だと分からないように配慮されています。
しかし誰かと同居している場合、頻繁に郵便物が届くことで「何か隠し事をしているのでは」と疑われてしまう可能性があります。
この段階になると電話も毎日掛かってくるようになり、電話の相手も女性から男性に代わります。
口調は相変わらず丁寧ですが、男性に代わったことで焦りを感じるかもしれません。
自宅に担当者が訪問する場合あり
絶対ではないものの、返済遅れが続くと自宅へ担当者が訪問してくる場合があります。
本人がいた場合は延滞の事実確認をし、今後の返済計画について話し合うことになります。
本人が不在の場合はそのまま帰り、後日改めて訪問します。
担当者が本人以外の家族に用件を明かすことはありませんし、取り立て規制により、家族に代わりに支払うよう要求することもありません。
金融事故として登録される
返済日から61日(もしくは3か月)以上返済していない状態を「延滞」と呼びます。
延滞になると、カードローン会社は金融事故として信用情報機関に登録をします。
信用情報機関にはカードローンの利用履歴のほか、クレジットカードの分割払いや割賦販売などの利用履歴と支払い状況が全て記録されています。
事故情報が載ると新規の借入が一切できなくなるため、日常生活で不便を感じる場面が出てくるかもしれません。
なお銀行カードローンの場合、延滞になると保証会社が利用者に代わって返済をします(=代位弁済)。
とはいえ利用者の借金がなくなるのではなく、返済する相手が銀行から保証会社に代わるだけです。
銀行カードローンの保証会社は消費者金融である場合が多いため、取り立て方法も消費者金融と同じようになります。
<関連記事>:代位弁済とは?元銀行員が分かりやすく解説!
法的手段が取られ、給与の1/4差し押さえ
どうしても返済に応じない場合、最終的に勤務先の給与1/4が差し押さえされます。
法的な手続きを経て、差し押さえが決定されます。
裁判所から勤務先に「差押通知書」が送付されます。
そのためカードローンを滞納した事実も、会社側に知られてしまいます。
勤務先は裁判所からの差し押さえ命令を拒否できないため、完済するまで毎月給与の1/4の差し押さえは続きます。
<関連記事>:【元銀行員が解説】家族に内緒でカードローン!誰にもばれないで借りるには?
カードローンが返済できない!バックレはできる?
時効の成立は不可能に近い
カードローンが返済できないと分かったとき、時効を成立させて借金をチャラにすることを、考える人もいるかもしれません。
カードローンの時効5年なので、この間逃げ切れば、確かに時効は成立して借金はチャラにできます。
ただ、これはあくまで理屈の上の話で、現実的には不可能に近いでしょう。
消費者金融も時効を成立させないよう、様々な手段を使ってきます。
仕事も家も全部捨てて夜逃げすれば「バックレ」はできるかもしれませんが、日常生活が送れなくなっては本末転倒です。
<関連記事>:カードローンの借金は時効になったらチャラ?踏み倒しできる?
どうしても返済がキツいなら、債務整理を検討すべき
借金のために夜逃げするくらいなら、債務整理を検討するべきです。
債務整理をすることで利息をカットしたり、借金を大幅に減らしたりできます。
給与や借金の額にもよりますが、任意整理のように家を手放さずに済む場合もあります。
最悪、自己破産したとしても、借金がゼロになるため夜逃げなどしなくて済みます。
20万円以上の資産を全て手放す必要がある・特定の職業に就けない等のデメリットはありますが、借金の返済や取り立てからは解放されます。
債務整理の手続きは、弁護士や司法書士などの専門家に依頼しましょう。
無料で相談に乗ってくれる事務所もあるので、債務整理を考えているのなら一度相談してみてください。
以上、カードローンの取り立てについて見てきました。
暴力や脅迫などは法律で禁止されているとはいえ、取り立てが来ることで精神的にも大きな負担がかかります。
取り立てを受けないためには、ちゃんと期日を守って返済するのが一番です。
しかしどうしても返済できない場合でも、取り立てを無視せず適切に対処しましょう。
- カードローンの取り立てはあるものの、暴力や脅迫などは法律で禁止されている
- 取り立てはスマホへの連絡から始まり、最終的には給与の一部差し押さえになることも
- 違法な取り立てを受けた場合は金融庁や警察、消費者センターに相談
- 時効成立で借金をチャラにするのはほぼ不可能
- どうしても返済が難しい場合は、返済計画の見直しや債務整理を検討

この記事の執筆者: もぐお
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