銀行カードローン問題とは?元銀行員が解説!

ここ2~3年で、銀行カードローンの問題をマスメディアで目にする機会が多くなりました。

「銀行」という響きから安心感があると思いがちな銀行カードローンですが、具体的にどのような問題があったのでしょうか?


今回は「銀行カードローン問題」とは何か、またその背景や講じられた対策などについて解説します。


銀行カードローン問題って何?

銀行カードローン問題とは、銀行カードローンによる過剰貸し付け問題のことです。

2016年末頃からマスコミで取り上げられ、社会問題となりました。


ここでは、具体的にどのような問題が起きたのかを見ていきます。

銀行カードローン利用者の急拡大

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問題の原因の一つに、銀行カードローンの利用者が急激に拡大したことが挙げられます。

金融庁が公表している銀行カードローン残高の推移を見ると、2010年は残高が3兆2554億円ですが、2017年には5兆8186億円で約80%増になっており、利用者が急拡大していることがわかります。


銀行カードローンの利用者の急拡大した理由はいくつかあります。

銀行自身がカードローンを大々的にアピールしたこと、消費者金融よりも低金利であること、「銀行」というブランドで運営するカードローンであるため、利用者にとっても安心材料になったこと等があります。


これに加えて、2010年に始まった消費者金融への貸付規制も大きく影響しました。

銀行カードローンは、この規制の対象外だったからです


銀行カードローンが大幅に残高を積み上げた背景には、このような事情がありました。

<関連記事>:銀行カードローンとは?元銀行員がメリットとデメリット・リスクを解説します

銀行カードローンが貸出規制の対象外だった話は、後ほど詳しく解説します

銀行カードローンの審査が甘い?

銀行カードローン問題の本質は、返済能力に乏しいと思われる人への融資が急拡大したことです。

住宅ローンなど各種のローン審査に厳しい銀行は、当然カードローンにおいても審査は厳しいと思われていました。


しかし実際のところは消費者金融の審査に落ちたのに、銀行カードローンの審査に通る人が続々といました。

つまり、審査が甘く返済能力が低いと思われる人にも貸し出し、利用者を取り込んでいたということです。

<関連記事>:【元銀行員が解説】カードローンの審査の流れと審査基準

債務整理や自己破産に追い込まれる人が続出



裁判所の司法統計から作成)


消費者金融の貸付が規制強化されたことで、過剰な貸付ができなくなったこともあり、自己破産者数はずっと減少していきました。

しかし、2016年になると減り続けていた自己破産者数が13年ぶりに増加に転じ、翌年2017年も前年比6.4%増となってしまいました。


消費者金融の利用者が大幅に伸びた訳ではないのに、いったい何が原因だったのでしょうか?

ハッキリとした因果関係が分かっている訳ではありませんが、やり玉にあげられたのが銀行カードローンです。


先ほど述べた通り、銀行カードローンは単に貸出を増やすだけでなく、返済能力の怪しい人にまで融資を急拡大させていました。


銀行カードローンが原因での自己破産者の数が、ハッキリ示された訳ではありません。

ただ、債務整理の相談を受ける現場の弁護士や有識者から、懸念の声が上がるようになりました。


2016年12月頃から、盛んにマスコミでも取り上げられるようになり、2017年4月には、NHKの番組でも銀行カードローンのせいで債務整理に追い込まれた人が急増している様子が取り上げられました。

<外部の関連サイト>:【元銀行員が解説】消費者金融の債務整理で抑えておきたいこと

安心の象徴と見られる銀行で、サラ金まがいの融資が行われていたことを知って、世間から非難が殺到することになりました


銀行カードローン問題が起きた背景は?

銀行カードローンは総量規制の対象外

「総量規制」とは貸金業者が健全な貸付を行うために、政府が定めた貸付に関する規定のことです。

2010年に導入され、消費者金融や信販会社などが規制の対象となっています。

<外部の関連サイト>:【元銀行員が解説】総量規制とは?その例外とは?


規制が強化される前は、消費者金融の高金利での過剰貸付により自己破産をする人や、執拗な取り立てのせいで自殺に追い込まれる人などが増え深刻な社会問題となっていました。

総量規制の導入により、それらの問題が解決の方向に進んでいきました。


一方、銀行は目的別ローンも扱い独自の審査ノウハウもあるため、カードローンにおける審査も適正に行われていると思われており、総量規制をかけられませんでした。


ところが貸付けの規制がないのよいことに、銀行カードローンは1人当たりの融資額を拡大させていきました。

中には、年収の1/2、場合によっては年収と同額の貸付も行う銀行まで出てきました。


もちろん銀行カードローンの審査が適切に行われていれば、問題はなかったでしょう。

ですが以下で述べるように、一部の銀行カードローンの審査はザルに近い状態でした。


利用者の返済能力に見合っていない貸付は、自己破産者を増やす要因となり、カードローン問題を招いてしまったのです。

<関連記事>:カードローンの滞納・延滞って、やっぱりNG?

消費者金融が保証会社で銀行はノーリスク

銀行カードローン,保証会社

銀行カードローンの保証会社が消費者金融である点も、問題を大きくした原因の一つです。

保証会社とは債務者が返済不能になったとき、債務者の借入金を代わりに債権者に返済する(これを「代弁」といいます)会社のことをいいます。

<関連記事>:代位弁済とは?元銀行員が分かりやすく解説!


つまり、銀行カードローンの利用者が返済不能になった場合、保証会社である消費者金融が借入れを全額弁済してくれるため、銀行は貸し倒れのリスクゼロでカードローンを提供できるのです。


もちろん銀行は保証会社(=消費者金融)に対して保証料を支払いましたが、それでも十分に採算が合いました。


さらに中にはカードローンの審査業務を放棄し、審査を保証会社(つまり消費者金融)に丸投げする銀行まで出てきました。

保証会社が審査を厳しくしようとすると、「保証会社を変えるぞ!」と銀行に脅され、泣く泣く信用力の低い利用者も審査を通しました。


こうして本来厳しかったはずの銀行カードローンの審査は、消費者金融に較べても甘い状態になりました。

融資が拡大していたことに加え、審査そのものが甘かったことが、返済不能な人を一層増やす原因になりました

金利低下による銀行の収益力低下

銀行がこれだけカードローンに前のめりになった背景には、2013年から始まった日銀による「量的・質的金融緩和」(いわゆる異次元緩和)があります。

景気の拡大を目的とした低金利政策により、住宅ローンの金利は固定金利1%前後、変動金利は0.5%前後と大幅に低下し現在も低金利が続いています。


銀行にとってローン貸付金の利息は大切な収益源です。

金利が下がるということはその分利息も減り、銀行の収益力を大きく下げることになってしまいました。


しかし、収益を確保するために、カードローンの金利はほとんど下げませんでした。

金利1%前後の低金利な住宅ローンに対し、カードローンの上限金利平均値は14%程度です。


収益低下に苦しむ銀行にとってカードローンは貴重な収益源となりました。

銀行はカードローンを推進し、過剰な貸付をしていたと考えられます。


銀行カードローンそのものは、以前からありました。

でも銀行がここまでカードローンに積極的になった背景には、日銀の低金利政策が大きく関係してると筆者(もぐお)は考えています。

金融庁から地銀への圧力

銀行の中でも特に地銀は、将来の生き残りのために収益力を向上させるよう金融庁から圧力を受けていました。

これも銀行カードローンの過度な貸付を駆り立てた要因です。


近年の金融緩和政策導入には、法人への融資促進によりお金を流通させる狙いもありました。

ですが、実際のところ設備投資を行えるほど余裕のある企業は決して多くはないうえ、低金利で融資をしたとしても利ざやが少なく大きな収益はあまり得られませんでした。


利ざやによる収益が得づらくなっている地銀は、メガバンク以上に収益の確保が厳しい状況に置かれていたため、収益を向上させるためにカードローンに一層前のめりになりました。

<関連記事>:金融庁が規制強化すべきでない3つの理由



カードローン問題に対する銀行・金融庁の対策は?

上で見た銀行カードローン問題に対して、マスコミ・世論・有識者・日弁連などから、激しい非難の声が上がりました。

この問題に対して、銀行や金融庁はどのような対策を取ったのでしょうか。

以下で見てきます。

審査の厳格化

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金融庁は審査体制をはじめとした問題点を指摘し、銀行に自主規制をするよう促しました。

それを受けて銀行は、以下のような対策を打ち出して審査を厳しくしています。

・収入証明書の提出義務を強化 
・融資上限額の見直し
・審査に主体的に関与



銀行カードローンも総量規制と同じ基準の、50万円を超える借入の場合は収入証明書の提出を求めるようになりました。

メガバンクではそれまで、200万円から300万円を超えるような高額な借入の場合にのみ収入証明書の提出を求めていました。

50万円まで大幅に引き下げたことで、収入額の確認がしっかりとできるようになったといえます。


そして、融資上限額は年収の1/2~1/3までとするようになりました。

審査も保証会社に任せっきりにするのではなく、申込者の取引履歴や返済状況データの参照を徹底するなど、銀行も主体的に関与するように見直されました。

<関連記事>:【重要】銀行カードローンの審査に落ちた原因はコレ!

全銀協から通達もあり、各銀行はカードローンの審査をかなり厳しく見直すことにしました

銀行カードローン広告の自粛

銀行カードローンの利用を煽る行き過ぎた広告は、返済能力が低い利用者を増やす原因となるため広告の自粛も行われました。

「専業主婦でも借入可能」「総量規制の対象外」など、誰でも簡単に希望額の借入ができると思わせる表現を自粛するほか、テレビCMの回数も減らしています。


消費者金融カードローンに比べ銀行カードローンは、「銀行が運営しているから安心して借りられるだろう」と思っている人も少なくありません。

広告を自粛することは、銀行カードローンの利用を安易に考えている人の抑制につながるといえるでしょう。

金融庁は当面見守り(総量規制は導入せず)

日弁連あたりからは銀行カードローンへ総量規制を求める声もありましたが、銀行の自主規制のみで総量規制は導入されませんでした。

銀行による自主規制後、金融庁は銀行カードローンの定期的なモニタリングを行っています。


改善の取り組みが進んでいない銀行には改善を促しており、今のところは規制導入の動きはありません。

金融庁のモニタリングに加え、全銀協も銀行カードローンに関するデータを積極的に開示するようになりました。

以上、銀行カードローン問題について解説しました。

上で述べた通り、銀行カードローン問題は2016年末から2017年にかけて取り上げられ、最近ではそれほど聞かれなくなりました。


銀行自身も、カードローンの審査体制の見直しなど、自主的に改革を進めております。

とはいえ、銀行カードローンの借り過ぎは、後の返済を苦しくする点では、今も昔も変わりはありません。


カードローンは便利なサービスですが、身の丈にあった借入れに留めるよう、気を付けて下さい。

この記事のまとめ

  • 2016年末ごろから銀行カードローン問題(=過剰貸し付け)が社会問題となった
  • 因果関係は分かってないものの、2016年に入り自己破産者の数が増加に転じた
  • 銀行カードローン問題の背景にあったのは銀行の収益力低下、甘い審査体制など
  • 問題の指摘を受け、融資上限・審査の厳格化、広告の自粛など、銀行は自主規制を行なった
  • 日弁連は本格的な規制導入を求めるが、金融庁は今のところ様子見

もぐお

この記事の執筆者: もぐお

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